March 2024  |  01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31

壮大なる伝言ゲーム


シェーパーが触れる事がないサーフボード

 

これってサーフボード??

 

広く解釈すればサーフボードかもしれません。

 

これからサーフィンを始める初心者さん用に作られた中国産のリーズナブルなボード

 

確かに広く解釈すれば、それもサーフボードです。

 

ただビッグブランド公式発信で

 

本人シェーパーが触れる事なく作られるサーフボード

 

この数が尋常でない、、、、、

 

 

そのBIGブランドの多くは、やはりサーフィン大国USやAUSTRALIA発信です

 

今に始まった事ではないですが、シェーピングマシン AKUが各国に広まって

 

データ主体で作られるボードの製造が加速化されたように感じます。

 

更に中国では、そのシェーピングマシンの偽物マシンまで存在し、当然 本家マシンとの互換性も備えています。

 

恐るべしです。

 

 

 

 

あなたのUS & AUSボードは、どこ産???

こちらは、親切丁寧に記載されています。

「THUNDERBOLT JAPAN(中略) AT OUR CHINESE FACILITY」 製造は中国工場ですと。

 

もしかしたら日本向けだけでなくオーストラリアへの輸出も踏まえての記載かもしれません。

オーストラリアは自国のサーフィン産業、シェーパー、意匠を守る為 オーストラリア国外で作られたサーフボードへは、製造国の表示が義務づけられています。日本よりかなり厳しく取り決められています。

 

しかし原産国が記載されているだけで、シェーパー不在なのは変わりませんが、、、

 

 

これがシェーピングマシンです。SNSなどで見たことのある方も多いかと思います。

アウトラインやロッカー、レールなど細かな設定が可能で3Dであらゆる角度から事前に確認ができます。

 

このマシンの誕生は素晴らしく、これまでハンドでシェープしてトライ&エラーを繰り返していたのが、マシンで細かな変更や、大胆なデザイン設計まで可能になりました。

 

このマシンの存在は決して悪くないんです!!!

むしろデザイン開発の面ではマシン賛成派です。

 

 

 

しかし 現在 このマシンのシェープデータがどんどん独り歩きしています。

 

US&AUSのビッグブランドが主体となり、労働力、生産コストが安いアジア圏へデータを送り込み無数のプロダクションボードが製造されています。

 

主に中国、タイ、ベトナム、バリ、台湾で生産されています。

 

「今からサーフィンを始めるけど、ボードの性能は分からないし、安く始めてみたい」って方々のボードを作ってる分にはまだ良かったんです。が、USやAUSTRALIAのビッグブランドが、大量のプロダクションボードの製造し、そのプロダクションがこのアジア圏に集中しています。マシンの普及でその傾向が加速化しています。

 

悲しい事に過度の円安が伴い、遂に日本もその安い生産国、安いアジア圏の仲間入りです、、、、

 

和製海外ブランド 今後 その動きも進んでいます

 

円安ドル高、輸送費、材料費の高騰で海外ブランドの正規代理店がとった苦肉の策でしょうが、シェーパー本人不在で、、、made in Japan

 

もはや誰が仕上げても、マシンと許諾とロゴがあればいいのかな?

 

 

シェーパー 本人不在だと、純粋なオリジナルデザインの再現できないんです。

 

Panda surfboardsでもこんなエピソードがあります。

 

オーストラリア出身のPandaのオーナー/シェーパー ブレイクは、8年ほど前に拠点をオーストラリアからカリフォルニア ニューポートへ拠点を移し永住権を得て現在もニューポートでシェープしています。

 

しかし同時にオーストラリアで継続シェープされています。Rhino Laminatingと言う豪州屈指のクオリティー・技術を持つファクトリーにて。当然 シェーパー ブレイクは不在です。トレーニングしたシャドーシェーパーがシェープしています。

 

話は今から4年ほど前ですかね。コロナ渦で米国がロックダウンして「オーダー中の数十本のボードが届かない」、それどころか、ニューポートの工場封鎖で「新規オーダーも完全ストップ」になりました。あまりに長きに渡るのでブレイクに相談しました。

 

「ねぇ ブレイク コロナ規制がまだないオーストラリア製Pandaを取り急ぎ手配できない」と?

 

答えは即答で「ノー」でした。

 

例え屈指の技術を誇るRhino(ライノ)でも、やはり自分自身がシェープするものと違うからだと言う。

 

「じゃあ何故 オーストラリアで作らせているの?」と聞くと、ブレイクとPandaの故郷であるオーストラリアから完全にPandaブランドが立ち消えてしまうからだと。

 

自分自身がシェープするものと違うから日本へは送れない。ブレイクの強い意志をすぐに理解し、むしろ更なる信頼感を感じました。

 

 

 

マシンの話に戻ります。元のブランクス(左)をマシンにかけると右のような感じになります

様々なブランドの多種多様なモデル、フィッシュからロング、カスタムボードまで全て、削り出したいボードのファイルをクリックするとシェープが始まります。ボードのサイズにもよりますが、デッキとボトムでそれぞれ十数分ほどで完了します。

 

マシンお見事!!

 

ただ私たち、と言うか ほとんどのシェーパー達はこれを「マシンカット」と言います。

決して「シェーピング」とは言いません。

 

なぜならここからが、シェーパー達の腕の見せ所だからです

マシンは、食材がカット、準備された状態を作り、シェーパー=シェフが調理、仕上げてゆきます。

 

マシンカットから出てきたフォーム(ブランクス)のカーブが良くない、なんて事は多々あります。

そこでシェーパー達は、自ら創り上げたデザインを自らのハンドでシェープし仕上げてゆきます。

 

 

 

Pandaのシェーパー ブレイクももちろんマシンを使います。

マシンカット後、ここからが、シェーパー達の腕の見せ所です。

シェープ中の彼らとシェーピングベイには、絶対に声をかけられない程の緊迫した空気が漂います。

僕自身もブレイクのシェープ中に幾度となくその緊迫感を感じました。

 

 

 

シェーピングベイに入室する前に、シェーパーのお仕事はファイル作りから始まります。

これは、シェーパーにとって基本的に門外不出、秘伝書の様なトップシークレット扱いです。

そこに自分のデザインの全てが数値化されているからです。

お客様からのカスタムオーダーも全て 個別にこのファイルを作り、3D画像で確認しながら完成すれば自分のPCに保存します。

*使用のファイル画像はイメージです

 

ただ あくまでマシンは「マシンカット」とするだけで「シェーピング」ではありません。

データはデータ、カットはカットで、デザイン本来のカーブやコンケーブはシェープ出来ません

 

 

デザインを再現できるのはシェーパー本人 以外 ありえません

 

お話はそれます。

 

お料理レシピ:結構再現性が難しい

例えば、秘伝のラーメンレシピを頂いても再現は難しい

プロのシェフでさえ火加減などで味が異なったりします

家庭料理のレシピをアプリで作ってみてそれなりに美味しかったり

これで正解?って時もありますよね

 

工業製品:再現性が高い

自動車や工業製品は世界どこでも均一に同じものが生産できます

 

 

サーフボードって、前者のお料理レシピに近いと思います

自らがデザインしたモデルの数々、カーブ、ロッカー、コンケーブと複雑で、シェープ中は、実際に海でのパフォーマンスを想像しながらシェープしたりもします。

 

 

 

シェープも、これがEPSともなると、シェーパー本人でも削りにくいんです

PUフォームに比べEPSは素材自体が柔らかく、目の粗いものが多い為 とてもシェープしにくくなります。

 

 

 

それが、どうやってシェーパー不在のアジア圏で再現できるんでしょう???

はたまたサーフィンなど1度もした事のない作業員達が製造にたずさわってるのでしょう?

 

 

しかし お構いなしに巨大な工場でどんどん製造され市場に排出されています。巨大工場には注文際にミニマムと言うのがあります。数千本、数万本の契約しか受けない所があります。こうなるとビッグブランドしか注文できません。

需要があるのか無いのかは別として、ミニマム、契約本数通りの膨大な数のボードが毎年あふれるように製造されてゆきます。

 

 

シェーパー不在のまま、、、、

 

 

EPSは、基本発泡スチロールです。サーフボードのずっと以前から生活品、建材、土木等の現場で活用されており非常に安価な素材です。アメリカ、オーストラリアや日本では高価なイメージですが、これをアジア圏の工場で作業員が製造すると恐ろしくローコストで出来てしまいます。カーボンを切って張って見かけ良く作っても状況は同じです。

 

アジア工場 作業員仕上げの高価なEPSを、ネット市場で見ると個人的に胸が痛くなります。

 

 

 

 

「日本正規商品だから安心」

その前にシェーパー本人さんはどこにおりますの?

 

ドル高でアメリカからの輸入は厳しい

向こうでシェープされたブランクスを日本でラミネートしてても厳しくなり、

えぇーい 全部 日本で作ってまえ!!

 

悲しい事に過度の円安が伴い、遂に日本もその安い生産国、安いアジア圏の仲間入りです、、、、

 

 

 

 

 

ブランドやボードの好みは色々あると思います

プロダクションボードにもそれなりのメリットはあると思います。

すぐ乗れたり、本当のレビュー、案件レビューと、、、

 

しかし作業員による供給過多の現状マーケットは、見ていてとても苦しくなります。

まるでファストファッションや恵方巻の廃棄問題の様に、、、

 

今や円安でプロダクションボードでさえ、十数万円します。

 

自分は、プロサーファーじゃないからいいんだよ!?

でも壮大な海を越えた伝言ゲームで作業員が作っているんですよ、それでも大丈夫ですか?

今やそんなプロダクションボードでさえ安くは無いんですよ。

 

出来れば、クリックする前に、プロダクションボードに手を出す前にご一考を!

次のボードは、好きなブランドの本人シェープのものを!

超人気シェーパーで入手困難なら、少なくとも本人シェーパー常駐の本国工場にて!

 

 

シェーパー、アナタに、環境にも幸あれ
 

 

 

 

 

 

 

 

 

12345>|next>>
pagetop